選択的夫婦別姓が認められないのは、法律の問題だけ…?

たまには法律関連のことも書きましょう。ということで今回は、2018年1月に提起された選択的夫婦別姓訴訟これまでの訴訟背景について考えてみました。さて、法律が改正されれば全て解決するのでしょうか。

 

新しい選択的夫婦別姓訴訟

2018年1月、私の目に飛び込んできたのは、夫婦別姓訴訟が新たに提起されたという記事。正直なところ、見出しを見たときは「多分無理だろうな」というのが本音だった。

 

実際、ロースクール時代にも、夫婦別姓に関する憲法問題についてはさほど触れられなかったからだ。それだけでなく、ジェンダー的視点がロースクールの授業で展開されることは皆無だった。そのため、疑問に思う出来事は多々あったものの、司法試験にはそれほど関係ないことだからなのだろうと考えていた。

 

これまでの夫婦別姓訴訟の流れ

これまでの訴訟では、夫婦同姓を強制する民法の規定は、憲法24条2項、14条違反だとする主張が繰り返されている。これに対する裁判所の判断はほぼ変わらず「夫婦同姓は、日本社会に定着してきたものであり、家族の呼称として意義がある。呼称を一つに統一することには合理性がある」という内容だ。

最初に夫婦別姓問題が取り上げられたのは、1989年。岐阜県で別姓の婚姻届を受理しなかったことを契機として、家裁への不服申し立てが行われた。結果は却下だ。この当時は、国民感情としても夫婦別姓の必要性が醸成されておらず、いまだ選択的夫婦別姓についての必要性について需要がなかったといえるのかもしれない。

しかし、夫婦別姓訴訟は前述した不服申立ても合わせると、現在までに3回提起されている。このうち2018年のものを除けば、2015年判決が最新ということになる。このころには、共働き世代も多く、実際上の不便が生じていることから「必ず同姓を選択しなければいけない」ことに違和感を感じる人も増えていたはずだ。実際、平成18年に内閣府が行った世論調査では、すでに46.3%が「婚姻による名字の変更でなんらかの不便が生ずる」と回答している。

 

今回の訴訟は、何が違うのか?

では、今回の訴訟はどうなのだろうか。

これまで通りの手法で行くと、ほぼ間違いなく棄却判決が出そうである。「選択的夫婦別姓にすべき」というこれまで以上の国民感情の盛り上がりがあるとは思えないからだ。

だが、どうやら今回の訴訟は少し方法が異なるらしい。訴訟では、「日本人と外国人の婚姻については選択的夫婦別姓が可能である」のに対し、「日本人同士の結婚では夫婦同姓が強制されている」点を指摘している。この区別には合理的な理由がなく、憲法14条の平等原則に反するというものだ。戸籍法上の法の欠缺(法律がないこと)を指摘し、この状態は、両性の平等をとく24条2項にも反するという内容である。

今回の訴訟を担当している弁護士が主張しているのは、この法の欠缺を埋める提案だ。

具体的には、戸籍法に

「婚姻により氏を変えた者で婚姻の前に称していた氏を称しようとする者は、婚姻の年月日を届出に記載して、その旨を届け出なければならない。」

 

という条文を追加することで、憲法が定める両性の平等、法の下の平等に反する事態を解消しようというものである。今回の主張内容はこれまでの選択的夫婦別姓とは異なる法的主張であり、判決内容もこれまでとは違った内容が予想できる。

「選択的夫婦別姓ができるようになるかも?」と期待感をいただいている方も多いだろう。私もそう信じたい。

 

法律を改正すれば解決するのかは疑問

しかし、どうだろう。私はこの訴訟が勝訴したとしても、問題は解決しないのではないかと思ってしまう。なぜなら、批判的な意見の多くは、法律問題なんてそっちのけであるからだ。批判的な意見の代表としては、「伝統的な日本の家族観が壊れてしまう」というものである。

この観点からいくと改正後に、夫婦別姓を選択した夫婦は「伝統的な家族観」にはそぐわず、日本の常識的価値観からははみ出した人たちとみなされてしまう可能性もある。また、本人たちが夫婦別姓を選びたくても、家族の反対で夫婦同姓にせざるを得ないというケースも想定できる。夫婦同姓に不便を感じつつも、個人よりも家を基準に考えて行動する人はいまだ多く存在するため、そこに矛盾が生まれるということだ。

 

勘違いしないでほしいのは、私は選択的夫婦別姓を望んでいる。それでも、今の政治や国民の反応、周囲の意見を見聞きしていると、実際上の困難は残るだろうなと思ってしまう。これに対して、私は何の結論も持ち合わせていないが、家族という枠組みを一度再構成する必要はあるのかもしれない。家族は苗字や家を基準に考えるのか、それともそれぞれの愛情の形とみなすべきか、それぞれが考えていく時期がきたのだろう。

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