米オリンピック報道で批判の的。「Immigrants: they get a job done」の別の意味

ずーっと言いたくて言えなかったミュージカル「ハミルトン」の話題。ちょうどよく、オリンピックでニューヨークタイムズの記者が「Immigrants: they get a job done」と言ってつまずいてくれたので、これに絡めてハミルトンの「The Hamilton Mixtape」をご紹介したい。

 

オリンピックで長洲未来さんへの報道が批判の的に

少し前のニュースになるが、日系アメリカ人の長洲未来さんが平昌オリンピックでアメリカ人女性で初めてトリプルアクセルに成功したというニュースが話題になった。

もちろん彼女の功績はすばらしいが、同時に批判が出たことでニュースが霞んでしまったのが残念だ。ニュースを報じたニューヨークタイムズの記者が「Immigrants: they get a job done」とつぶやいたことに対し批判が集中したのだ。彼女はアメリカ生まれのアメリカ人であり、移民ではないことから「アジア系アメリカ人に対する差別だ」という批判である。

名前が日本名であることから移民であると勘違いしてしまったようだが、ニューヨークタイムズの記者がこのような発言をしたことは問題だろう。アメリカ生まれであっても、非白人である場合「Where you from?」と聞かれることが多いため、このような批判の根底には「もういい加減にしてほしい」という気持ちを受け取ることができる。

 

ハミルトンの「Immigrants」と記者の発言

私は、このニュースを読んで「あーアメリカっぽいな」という単純な感想を持ったが、この記者の発言で連想したのは別のことだった。それはハミルトンの「Immigrants=(移民)」だ。

ハミルトンは、2015年から上演中の大人気ミュージカル。演者がホワイトハウスに呼ばれたこともあるくらい人気のミュージカルだ。アメリカ建国の歴史を初めて非白人が演じたことでも話題になったが、いわゆるミュージカルの曲調ではなく、ラップで伝えたことも爆発的人気となった要因だ。

「Immigrants」は劇中に登場する1曲で、後に作られた派生アルバム「The Hamilton Mixtape」のリードシングルにもなっている。

私はこの曲が音楽的にも、社会テーマ的にも大好き。そして、サビの最後にある語呂のいいセリフ「Immigrants,we get a job done」が印象的だった。ニューヨークタイムズの記者はおそらくこの歌詞を文字ってつぶやいたつもりだろう。

人気のあるハミルトンの楽曲で、語呂よくつまづいてしまった。彼女は移民ではなかったのでお門違いな発言だったのは悲しい話だ。

 

Immigrants の歌詞&MVはかなりの社会派

「Immigrants」という曲を少し深堀りしてみよう。歌詞では、アメリカに夢を抱いて訪れた移民たちの苦悩が描かれている。

 

「I got 1 job, 2 job, 3 when i need them(必要なら、1つでも2つでも3つでも仕事をした)」

「we all came america trying to get a lap dance from lady freedom (自由を謳歌する女の子たちにラップダンスしてもらおうと思ってアメリカへきた)」

「but now lady liberty is acting like Hirary Banks with pre-nup(でも現実は、女の自由はヒラリー(クリントン)のお金と婚前契約しているようだ)」

「Here is something funny, you can be an immigrant without risking your lives or crossing these borders  with thrifty supplies (本当笑える話だよ。移民たちは、自分の命をかけずに、たくさんの物資を持って国境を渡れると思ってるだろう(現実は、逆)。)」

「all you got to do is see the world with new eyes(君達にできることは、新しい目で世界をみることだ)」

 

歌詞の中には、スペイン語の歌詞もあり、アメリカにおける移民の本当の声を伝えようとしている。トランプ大統領は、「メキシコに壁をつくる」、「不法移民を国に帰らせる」という移民排斥を掲げるような政策をたてたが、これには真っ向から反対し戦うという意気込みすら感じさせるものだ。

英語がわからなくても、pvを見れば視覚だけで深刻な雰囲気が伝わるはずだ。

 

 

アルバムには、アッシャー、シーアなど豪華アーティストが参加

アルバムは、「The Hamilton Mixtape」として発売され、サントラの派生版といったところ。アルバムの共演者は、ザ・ルーツ、アッシャー、アリシアキーズ、シーア、バスタ・ライムス、ジョン・レジェンド、ウィズ・カリファ、など名だたるアーティストたちだ。ミュージカルの趣旨に賛同し、今回のアルバムに参加してくれたそうだ。

ハミルトンのプロデューサーであり、演者でもある リン・マニュエル・ミランダも参加している。2016年の発売当初は、ビルボード200で1位を獲得した。

社会的な内容が多いのは確かだが、重い雰囲気の曲ばかりではない。新しくリリースされたシングル「Wrote My Way Out 」は、どんな状況でもペンひとつで自分の人生を描き、希望を見出したことをテーマにしている。

曲調も聴きやすく、アロエ・ブラックも参加していることからaviciiの大ヒット曲「Wake me up」を連想させる。

ミュージカルには興味がないという人でも、ヒップホップやR&Bなどの洋楽に興味があるという人にはおすすめできる1枚だ。気になる方はぜひチェックしてみてほしい。

 

Immigrants / The Hamiton Mixtape

look how far i come, immigrants we get a job done!…not yet

どれだけ遠くから来たかみてみろよ。移民の俺たちはついにやったんだ!

…いや、これからだ。

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